広幅スラブ連続鋳造用旋回流ノズルの吐出角度設計

摘要

フルスケール水モデル実験により、旋回流ノズルの特性に適応した吐出角度を調査した。その結果，以下の結論が得られた。 （1）吐出角度には旋回流ノズル·通常ノズルを問わず，安定した鋳型内表面流速が得られる適正範囲がある。この適正範囲内においてはダブルロール流動パターンが安定して形成されるが，吐出角度が適正範囲を外れて小さくなるとシングルロール流動パターンへの遷移城に入り，吐出流と短辺反転流との干渉に起因する自励振動が発生し流動が不安定になる。また吐出角度が適正範囲を外れて大きくなると，吐出流の減衰が大きくなり安定した短辺反転流が形成されなくなる。 適正な吐出角度は，今回の鋳造条件において下向30°～40°であった。 この適正な吐出角度を得ることができる旋回流ノズル吐出孔形状は，今回前提とした吐出乱開孔寸法（幅55mm X高さ90mm）において，上壁形状R60－下壁角度上向10°～上向20°の組合せであった。 （2）旋回流ノズル適用時に比べ，通常ノズル適用時のメニスカス流速が不安定であり，鋳型内表面流速が安定する吐出角度範囲が吐出角度の小さい側で狭い理由は，以下のように考えられた。すなわち，吐出孔における吐出流速分布が均一で安定した下向角度の吐出流を形成する旋回流ノズルに比べ，凹形状の底部を有する通常ノズルからの吐出流分布は不均一で上下に2分され，上方への吐出流が短辺反転流の形成を阻害する。