5-2．高濃度コロイド溶液における粒子径とゼータ電位の同時測定

摘要

従来から，ゼータ電位の測定は光散乱などによる電気泳動法が主流となっている。この場合，光の透過が絶対条件となるため，試料原液を大幅に希釈する必要がある。しかしながら試料の希釈は作業に手間を要するだけではなく，pHの変化や不純物の影響によりゼータ電位を変化させてしまう要因となる。ところが製造プロセスなどで取り扱われる微粒子分散系のほとhどは，濃厚溶液であることが多く，希薄系で測定したゼータ電位は，実際の状態を反映しているとは言い難い。その点，測定原理に電気音響法（ESA法）を採用すると高濃度微粒子分散系の粒子径やゼータ電位について試料原液を希釈することなく，実使用環境下と同じ状態で測定することが可能となる。本稿では高濃度コロイド溶液を希釈することなく原液のままで粒子径とゼータ電位を同時測定できる「高濃度粒子径·ゼータ電位測定装置AcoustoSizer II x」（図1）について紹介する。