知のコンパス～社会変化に対応するエネルギー企業への期待

摘要

1990年代まで世界の製造工場として反映を謳歌した日本経済は，国内のインフラ整備と旺盛な輸出に支えられて成長を遂げてきた。エネルギーや電力の需要は，産業界の成長に牽引されて右肩上がりで増加し，将来のエネルギー需要予測は製造業を中心とする国内総生産の伸びを基本に推計されていた。しかし，1990年代後半からは，家電製品，衣料，重電機器，造船，鉄鋼など製造業の中心は労働コストが安価な台湾，韓国，中国へ次第に移行していった。2000年代に入ると，中国を始めとする新興国の経済成長の勢いが増し，中国はアメリカに次ぐ世界第二の経済大国にまで成長した。中国の製造業の技術力は，急速に高まってきており，安価な労働コストと為替の影響もあって，汎用品の製造において，欧米および日本など先進国はコスト面で競争に勝つことはできなくなっている。