省エネ事例にみるスピルオーバー：蒸気の省エネ対策

摘要

資源エネルギー庁の「省エネルギー技術戟略」報告書によると，製造業の生産工程用ボイラへの投入エネルギー量は，約34％を占めている。 このボイラで発生した蒸気の利用まで含めると，ネットのボイラ投入エネルギーと蒸気利用システムで，グロスエネルギーは2倍になる。 それだけボイラ本体の高効率運転とともに，蒸気使用設備での有効利用，および蒸気ドレン回収による有効利用が求められている。近年蒸気の省エネ事例は，蒸気利用設備を含めた全体システムの高効率運転に関するものが増えている。 主要なテーマを挙げれば，·小型ボイラの多数台制御運転による，適正負荷運転·コージェネレーション設備の排熱回収ボイラの高効率運転·蒸気減圧弁に替わる動力回収小型タービン設置·蒸気ドレンの回収有効利用·スチームトラップの適正な選定と蒸気漏れロスの低減のための適正保守管理·スチームトラップ漏れチェックテスタの活用等が挙げられる。事例1は「大型発電ボイラユニット用に能力不足の補助ポイラの運用方法改善」に工夫して実用化した例，事例2は「小型ボイラ導入による台数制御運転と送気操作の自動化」によるシステム全体効率向上の例である。また，事例3は「徹底的に蒸気システムのエネルギーバランスの構造を解析して蒸気システム高効率化」のシステムを再構築した例で，事例4は「スチームトラップの選定と点検·交換基準の管理標準の作成と運用」を確立した例である。