ミカンの摂取と健康に関する栄養疫学研究：三ヶ日町研究

摘要

筆者ら（独法）農研機構果樹研究所では、国内産主要果実であるミカンがどのような病気の予防に役立つかを明らかにすることを目的に、平成15年度から国内有数のミカン産地である静岡県浜松市の三ヶ日町において栄養疫学調査（三ヶ日町研究）を行っている。 袱撙盲鹰撺蟆工违芝楗螗擅侨膜擞忻嗜鋈疹暇矊h西部に位置し、浜名湖のさらに奥の猪鼻潮に面した人口約1万6,000人の町である。 調査開始時は静岡県引佐郡三ヶ日町という一つの地方自治区であったが、2005年7月に浜松市と合併し、その後、2007年4月の政令指定都市への移行に伴い、現在は浜松市北区三ヶ日町という地名に変わっている。三ヶ日町では住民の多くがミカン産業に従事しているため、ミカンの摂取量が著しく多い地区といえる。 また、一方でほとhどミカンを食べないという住民もいるため、ミカン摂取量が幅広く分布している集団である。そのため、ミカンの健康効果を疫学的に検出しやすいという利点がある。また、筆者らはこれまでの研究から、ミカンにはβ－クリプトキサンチンという橙色の植物色素が特徴的に多く含まれており、ミカンを食べれば食べるほど血中のβ－クリプトキサンチン濃度が高くなることを見い出してきた。 この血中β－クリプトキサンチン濃度はミカン摂取量を極めて良く反映するため、このバイオマーカーを用いることでミカンと健康との関係がより精度高く解析することができる。