トレードオフ分析手法

摘要

製品開発·設計の過程は，その進捗（しhちょく）に伴ってより詳純化,具体化されたものが対象となり，例えば方式や部品や材料を選定したり,配置や形状などの設計変数とその値を決定していく一連のプロセスとなる。 その各局面でほ，それぞれの段階に応じた種々の設計条件の下で，新しい機能の実現,製品性能や品質の向上,コスト低減化などの目的を達成するために設計代替案の策定が行われる。 ところが，これらの目的の間には，ある目的を良くするためには他のどれかの目的を悪くせざるをえないという競合関係（トレードオフ関係）が内在する場合がしばしばある。また，製品の機能が高度化,複雑化したり設計条件や設計仕様がより厳しくなるに従い，これらを満足する設計解を迅速に得ることが以前にも増して難しくなってきている.ここでは，このような設計問題を複数の目的（評価尺度）がある多目的意思決定問題としてとらえ，種々の制約条件下において複数の評価尺度に基づいて各設計代替案の良し悪しを多面的，総合的に比較検討（価値判断）して設計代替案を策定するトレードオフ分析手法の製品開発·設計への適用性について事例とともに示す。