スマトラ島北部の温泉に発達する多様な微生物マッ卜

摘要

インドネシア国スマトラ島北部にある自然保護区Dolok Tinggi Raja (第1図)は,世界最大のカルデラ湖であるトバ湖の北方約50㎞に位置する.保護区内には,3力所に分かれて大規模なトラバ一チン(二酸化炭素とカルシウムイオンを多量に含む温泉水からの沈殿物)が発達している.中でも「ブループール」と呼ばれる自噴温泉は,その名の通り,濃い青色の楕円型開口部(短径約3m,長径約7m)を持つ美しい景観を呈している(第2図).温泉水は放射状に流れ出し,沈殿した炭酸カルシウムがトラバーチンマウンドを形成している.マウンド表面には,様々な夕イプの微生物マットが微環境に応じて棲み分けており,特異な色彩を放っている.