びまh性すりガラス陰影から鑑別を要したAIDS関連肺力ポジ肉腫の1例

摘要

力ポジ肉腫は後天性免疫不全症候群（AIDS)関連悪性腫瘍で最も多くみられる疾患であるが，肺原発 力ポジ肉腫は比較的まれである.我々は胸部CTでびまh性すりガラス陰影（ground-glass opacity ： GGO) を主体とした肺力ポジ肉腫の1例を経験したので報告する.症例は33歳の男性.AIDS関連Pneumocysfis jiravecli肺炎（PCP)のため埼玉医科大学病院へ搬送された.胸部CTではびまh性GGO主体の所見がみ られた.気管内採痰のPCRでP.jiravecli'が検出され，AIDS関連PCPと診断した.速やかに治療を開始し たにもかかわらず，呼吸不全が悪化し第26病日に死亡した.病理解剖では，胸部CTでは指摘困難な大小不 同の多発性の結節を全肺葉に認め，免疫染色の所見等より力ポジ肉腫と診断された.肺以外には力ポジ肉腫 を認めなかった.本症例のように，AIDS進行期にGGOや網状影を認める場合，肺力ポジ肉腫も考慮すべき であると考える.