ヘビ類雌の繁殖サイズの推定値に及ぼす資料の数と選別の影響 一おもにハブの資料からのランダム採取による検討

摘要

ヘビ類の繁殖参加雌（以下繁殖雌と記す） のサイズ（頭胴長）は，個体群や生活史の研 究において重要な特性変数であり，多数の研 究を引用して，その平均値（Stearns，1984） に加え，成熟サイズである最小値（Dunham et al., 1988）のみならず，最大値（Parker and Plummer, 1987）の比較研究もなされている． このうち最小?最大のサイズは，同一母集団 においても調査資料数が多いほど，それぞれ 減少?増加することは容易に推測できるが， 前記の比較研究において，引用した研究にお ける資料数への言及はない．ヘビ類を対象と した近年の研究では，多数の材料の扱いが困 難である場合があり，これらの少ない資料数 は，最小?最大の繁殖サイズの推定において 大きい誤差をもたらす可能性がある．いっぽ う，繁殖サイズの平均値については，対象と なる雌の定義が不明確な場合があり，定義の 不一致が推定値の偏りをもたらしている可能 性がある．