鍼灸所見の臨床的意義と客観化六部定位の脈診について

摘要

今回のシンポジウムは、『六部定位の脈診で内臓臓器の機能がそれぞれ配当されていることにエビデンスはあるか？ 』という、きわめて大胆な企画から始められたものです。 脈診の歴史は長いのですが、その臨床上の評価についてはさまざまな見解があることは事実です。 現時点において脈診とその診断上の意義について十分なエビデンス（科学的根拠）があるとはいえませhが、それは、これまでの鍼灸の臨床の中で脈診に関してのエビデンスを作る必要性が十分に認識されていなかったこととも関連すると思われます。 どのような視点から脈診のエビデンスを作るかという具体的な問題意識を持たないかぎり、脈診法はエビデンスとは無縁の名人の技として徐々に消滅していく可能性が高いものと思われます。