統合失調症患者における機能的転帰:MATRICS Consensus Cognitive Batteryとの関連

摘要

統合失調症患者の機能的転帰について，Measurement and Treatment Research to Improve Cognition in Schizophrenia (MATRICS)の研究動向に沿いつつ論じた.同研究組織が開発した認知機能検査バッテリーMATRICS Consensus Cognitive Battery (MCCB)に対し，日常生活や社会生活で発揮される認知機能の指標がco-primary measures として要請されてきた. 本稿ではまず，機能的転帰の各階層，すなわちneuropsychological performance, functional capacity, functional performanceについて説明した.その上で，mnctional capacityがco-primary measuresのターゲットとされたこと，またその評価にperformance-based approachとinterview-based approachによる手法が検討されている ことについて述べた.さらにfunctional performanceの意義についても，その評価が患者の社会予後の評価に重要であること，およびその評価尺度であるcommunity functioning measuresがMCCBの妥当性検証に用いられてきたことについて述べた.最後に，機能的転帰の測度，すなわちco-primary measuresやcommunity functioning measuresを英語以外の言語に移植する際に生じる諸問題について考察した.