ァラキドン酸の社会性障害に対する効果と血槳濃度

摘要

多価不飽和脂肪酸(polyunsaturated fatty acids, PUFAs)のァラキドン酸(arachidonic acid, ARA)はsignal transductionを主とする神経発達に重要な役割を果たすので，ミラーニューロン系を中心とした情報伝達。処理や志向性に関わる脳機能の発達不全とされる自閉症スぺクトラム障害(autism spectrum disorders, ASD)の対人的相互性障害を改善し得ると期待される.ARA240 mg/日(12歳以下は1/2)の臨床効果を調べるために，6?28 歳(平均14.6 +-5.9歳)のASDの13例を対象として，ARA + DHA (docosahexaenoic acid, DHA)のサブリメントの効果を検討した.13症例をARA製品投与群(n = 7,平均13.9+-5.3歳）とプラセボ投与群(n = 6,平均15.5 ±7.4歳）に分けて，16週間のdouble-blind randomized placebo-controlled trialを行った.さらに，double-blind randomized placebo-controlled trialによるARA製品の効果を確認するために，double-blind placebo-controlled trialに引き続いて，全症例にARA製品を16週間投与するopen-iabd studyを行った.症状評価は世界的に机用されているAberrant Behavior Checklistの日本語版(ABC-J)とSocial Responsiveness Scale (SRS)を用いた.PUFAs の血漿レベルと臨床症状の改善との関連をみるために，PUFAsの血漿濃度を測定した.ARAサプリメント投与群はプラセボ投与群にくらベて，社会的ひきこもりとコミュニケーションが有意に改善した.ARAの血漿濃度はARA製品群で投与前にくらベて有意に上昇した.これらのことから，ARA製品群の社会的相互性障害の改善効果はsignal transductionなど神経機能のupregulationによると推察された.