野生由来近交系マウス系統におけるOprm1遺伝子多型とモルヒネ感受性の関連性

摘要

モルヒネゃフユンタニルといつた麻薬性鎮痛薬は，慢性痛の疼痛治療や外科手術における周術期の疼痛治療など様々な医療行為に使用されている.世界保健機関(WHO)により公表されたWHO方式がh性疼痛治療指針には，その基本5原則の1つに，"for the individual"(個々の患者の痛みに見合った鎮痛薬の量で治療すること)という項目があり，麻薬性鎮痛薬の最適量が各個人で著しく異なることは広く知られている，日本における麻薬性鎮痛薬の使用量はアメリカ·ドイツ·カナダの約1/20,フランス·ィギ' リス.イタリアの約1/2?1/7で,他の先進諸国に比べて圧倒的に少ない.その理由の1つとして，麻薬性鎮痛薬は鎮痛作用のほかにも吐き気·嘔吐，便秘や呼吸抑制といつた様々な副作用を引き起こし，こういつた鎮痛薬の作用には上述のような著しい個人差が存在するため，各個人に最適な疼痛治療が困難であることが挙げられる.日本では副作用の面がクローズアップされてしまい，他国に比べて使用機会が少ないと考えられる，そのため，鎮痛薬感受性の個人差を引き起こす分子メカニズムを明らかにすることは， 日本における各個人に最適な疼痛治療の推進につながると考えられる.