アミロイドワクチンとアルツハイマ一病創薬

摘要

アルツハイマー病(AD)の病態解明が進む中で根治的治療薬が現実味を帯びてきているが，Abeta蛋白全長を用いたワクチン療法は脳髄膜炎という重大な副作用により中断に追い込まれた.しかし，その後に改良型も検討されており，現時点ではやはり次世代の治療薬としてトップランナーである.そこで本稿では，現在までのAD治療薬の歴史をふまえ，まずは当初のAbeta蛋白ワクチン療法を文献的にも考察した.続いて，現在世界中で同時開発中である改良型ワクチン療法について，その意義や第2相までの結果もふまえ概説した.最後に，今後の創薬という観点から，臨床的には現在の治療薬の意義も指摘した上で，今後に期待される展開を述べた.