特集にあたつて

摘要

向精神薬の作用機序について，従来は向精神薬が標的分子にどのように作用するかという薬理学的な解析が主に行われてきました.近年は，遺伝子組換え技術により向精神薬の標的分子の遺伝子クローニングが可能となりました.遺伝子クローニングの技術を用いて向精神薬の標的分子であるモノァミンゃァミノ酸受容体を培養細胞に発現させたり，遺伝子欠損マウスモデルの作製によって，向精神薬の薬理学的な作用機序の理解は飛躍的に進展しました.しかし，向精神薬の標的分子の遺伝子ク口 - ニングによつても作用機序のすべてが解析されたわけではありませh.2009年11月に国立京都国際会館にて開催された第19回日本臨床精神神経薬理学会と第39回日本神経精神薬理学会の合同年会において， 向精神薬が標的分子だけではなく神経可塑性に関わる作用機序についてのシンポジゥムが行われ，北海道大学の小山司先生と私が司会を担当いたしました.