物流システム改善の実務と手法：物流改善の基本的考え方～急所·目の付け所

摘要

全体最適化を論じる場合，SCM（サプライチェーンマネージメント）の考え方が活用されている。これはまさに，トヨタ生産方式のジャストインタイムの考え方，必要なものを必要なときに必要なだけつくる，あるいは供給するという考え方である。需要側の立場，要求に応じて適切に対応する“後工程はお客様”の視点で物流を見直す事が大事である。図表－16を見て戴きたい。イソップ物語の“キツネとコウノトリ”の絵である。ある日，キツネさhがコウノトリさhを食事に招待し，キツネさhはコウノトリさhに底の浅い皿でご馳走を振る舞ったが，コウノトリさhは細い先のとがった口ばしのため，せっかくのご馳走を食べる事が出来なかった……との物語である。キツネさhはコウノトリさhの事を考え深い壷で料理を出すべきだった。（注：私のトヨタ式物流方式の先輩の教え）この様な事が，実は物流現場ではよく発生している。イソップ物語では意地悪なキツネさhであったが，通常，前工程は後工程で問題を抱えて居る事は判らない場合が多い。SCMの概念を難しく考えずに，この“後工程はお客様”の概念で，後工程から問題点を提起し，前工程に一工夫してもらい，改善を図る方法を考える，実行する事が全体最適化の入り口であると考える。