合流異常類似の病態 膵胆管高位合流例

摘要

膵胆管合流異常は,解剖学的に腸管と胆管が十二指腸壁外で合流する先天性の奇形であり,十二指腸乳頭部括約筋の作用が合流部に及ばないために膵液と胆汁の相互の逆流が起こり,胆道や膵に種々の合併症を引き起こす。一方,Ⅹ線上の共通管の長さが6mm以上であり,膵管と胆管の合流部に括約筋作用が及ぶ膵胆管高位合流(高位合流)例では, 53例中6例に胆嚢癌の合併を認めた。 Tチューブ造影時84%の例で膵管内逆流が認められ,胆汁中アミラーゼ値は測定した7例全てで上昇を認めた。 さらに,高位合流例の胆嚢粘膜の細胞増殖能は胆管非拡張型合流異常と同様に高値を示した。 高位合流例では,合流異常と類似した病態が生じていると考えられ,今後高位合流例の合併症や治療方針等を検討していく必要がある.