膵癌に対する腹腔動脈合併切除(DP-CAR)の意義： ガイドラインを超える治療は意義があるか？

摘要

膵体部に発生した腫瘍は，自覚症状に乏しいため，早期発見に至ることが少ない。また 解剖学的な特徴から主要血管あるいは周囲神経叢に近接?浸潤しやすいとされている。とくに膵体部腫瘍は腹腔動脈から脾動脈?総肝動脈分岐部に浸潤しやすく，切除を行ってもR1(癌遺 残）となりやすいcritical zoneであるとされている。この領域に進展した腫瘍に対する欧米と 日本でのガイドライン上の扱いは大きな違いがみられない（主にUR:非切除だが，一部に borderline resectable ： BRとする扱いもある）。本稿では主に本邦から報告されている腹腔動 脈合併切除を伴う尾側膵切除(DP-CAR)について，歴史?DP-CAR変法(modぱied DP-CAR) ?最近の知見について概説した。またガイドラインに記載されていないadjuvant surgery における， DP-CARの有用性について概説した.