特辑：胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)の病態と診療の現状: 胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)と膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)の比較

摘要

要旨：三重大学肝胆膵.移植外科で胆管内乳頭状腫瘍(IPNB)と診断された18例(main duct type : 4例，branch duct type : 11 例，mixed type : 3例 2005?2017)をもとに，その術前画像所見と腫瘍悪性度の関連性を検討した。Main duct typeは膵主膵管型膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)に類似し，その75%が浸潤癌で高率に胆管内に表層拡大進展(75%)を認めた。 Branch duct typeは分枝型IPMNに類似し，その悪性度や浸潤性は他のIPNBに比して低ぐ 11例中5例は腺腫もしくは境界悪性病変だった。Mixed type IPNBは，混合型IPMNに類似 しmain duct，branch duct type両者の特徴を併せ持っており，3例中2例が浸潤癌で表層拡 大進展も2例に認めた。肝内に病変を置く 14例（branch duct type : 11例とmixed type : 3 例）を腺腫もしくは境界悪性（BilIN2-3相当）群（n=5)，CIS群（n=5)，浸潤癌（n=4)に 分けて，その囊胞径，壁在結節の頻度を検討した。囊胞径は腺腫/境界病変30.4±21.1mm， CIS : 35.0±16.0mm，浸潤癌57.8±22.1mmと悪性度とともに大きくなり，結節の頻度も腺腫/境界病変：20% (1/5)，CIS: 60% (3/5)，浸潤癌：100% (4/4)と腫瘍悪性度が増すにつれて有意に増加し，これらの特徴も膵IPMNと類似していた。