肺腫瘍（非小細胞癌）における胸部FDG－PETの医療経済効果に関する判断分析（第Ⅰ報）

摘要

現行の判断樹および検査の診断データに基づき，非小細胞癌（病期IIIB以下）における胸部FDG－PETの，諸検査料，入院手術費，余命を含めた医療経済効果に関して，判断分析を行った．効果分析の対象（有病率7l．4％）を1，000例とし，全例胸部CT後に胸部FDG－PETを得るものとした．その結果，気管支鏡生検を約半数に減じ，縦隔鏡生検と治癒手術例を増加（115例）させ，非治癒手術を減少させる（51例）．このため，軽度ながら医療費の高騰（胸部FDG－PETの1検査コストを10万円とした場合：10．5％の割高）をもたらすが，平均余命を軽度延長させる（0．607年/患者）．胸部FDG－PETの1検査コストを10万円とすると，その医療費増額分は21．8万円/年/患者となる．非小細胞癌における胸部CT十胸部FDG－PETプログラムはcost-effectiveではないにしても，費用便益分析上，有用であると思われる．