直接積分線形最小2乗法を用いた簡便な~(99m)Tc－GSA動態解析法：線形3コンパートメントモデルに基づく肝血流，受容体量指標の算出

摘要

~(99m)Tc－DTPA-Galactosyl Human Serum Albumin（~(99m)Tc－GSA）を用いた肝アシアロ糖蛋白受容体イメージングにおける肝血流，受容体量の定量的評価を目的として，直接積分線形最小2乗法を用いた簡便な動態解析法を考案した．この方法は，Blonqvistらが提案した直接積分線形最小2乗法を用いた線形3コンパートメントモデルの解析法を~(99m)Tc-GSA静注後早期の動態に応用したもので，モデルパラメータである肝血流と受容体量指標を簡便に求めるものである．本法におけるデータ誤差の推定パラメータ値への影響をシミュレーションし，さらに，35例の肝疾患患者を対象に本法と従来法である非線形最小2乗法を比較した．結果，データの統計変動に基づく誤差の影響は，実際上，無視しうると考えられ，また，得られた肝血流ならびに受容体量指標に両方法間で良好な相関が認められた（r~2＞0．96，p＜0．0001）．本法は計算に際しパラメータの初期値や繰り返し計算を要せず簡便に肝血流，受容体量指標の決定が可能であり，臨床上有用な方法と考えられた．