胚細胞腫瘍

摘要

胚細胞腫瘍（germ cell tumor)には，奇形 腫〔成熟奇形腫（mature teratoma)，未熟奇 形腫(immature teratoma)，精上皮腫 (seminoma) ，胎児性(embryonal cell carcinoma)， 卵黄囊腫瘍(yolk sac tumor, endodermal sinus tumor)，絨毛癌(choriocarcinoma)やこ れらが混合する混合型胚細胞腫瘍（mixed germ cell tumor)がある。縦隔では成熟奇形 腫が最も多く全体の75%を占め，悪性では精 上皮腫が最も多い。胚細胞腫瘍は，成人縦隔 腫瘍の約15-16%，小児縦隔腫瘍の19-25%を占め，すべての年齢で発症するが，臨床像や遺伝学的観点から思春期前の小児腫瘍 と思春期後の成人腫瘍に分けられる。小児期 の縦隔胚細胞腫瘍は，性腺以外の発生部位としては仙尾部?中枢神経に次いで3番目に 多く，組織型はほぼ奇形腫と卵黄囊腫瘍のみ である。