ベリー類アントシアニン摂取がVDT作業時の眼の屈折調節機能へ及ぼす影響

摘要

アントシアニン（AC）の視覚改善効果は著名であるが，ACはその構造の違いに伴って，経口摂取後の体内動態や代謝経路も異なり，組織における機能性も異なることが知られている。 今回，3種のAC（カシス，アロニア，ビルベリー）を用いてACの特に眼の疲労への効果を比較した。 対象は，正視から中等度近視までの若年成人男女10名（23～33歳，乎均年齢28．4歳）とし，AC経口摂取による屈折調節機能への影響をプラセボ対照無作為割付クロスオーバー二重盲検試験で評価した。眼疲労の作業負荷として，被験食品摂取2時間後から2時間のVDT作業負荷を与えた。 被験食品摂取前と摂取4時間後（VDT作業負荷後）の屈折調節機能への影響を優位眼と非優位眼それぞれで評価した。各群のAC摂取量は，アントシアニジンとして40mgに統一した。 　 優位眼の比較において，カシス群では，摂取前後の比較として平均で0．5Dの屈折度の改善（遠方化）が認められた（P＝0．002）。 他の群ではいずれも有意差は認められなかった。 優位眼における被験食品摂取前後の屈折度の変化量を各群で比較すると，カシス群でのみ，プラセボと比較して有意に屈折度の改善が認められた。 非優位眼ではいずれの群でも有意差は認められなかった。 その他の測定項目については有意差は認められなかった。 屈折調節機能Jま，眼疲労を他覚的に評価する際の重要な診断項目であり，カシス摂取によって眼疲労の予防の可能性が示唆された。