クアゼパムの投与により治療抵抗性の不眠が改善した統合失調症の1例－ベンゾジアゼピン系薬物とべゲタミン青からのスイッチー

摘要

統合失調症における治療抵抗性の不眠に対し，大量のベンゾジアゼピン（BZ）系薬物や抗精神病薬，ベゲタミン~Rなどを組み合わせて対処してきたが，それでも毎日のように不眠を訴え，頓服薬も数種類に及ぶといった例も少なくない。 クアゼパムは，旧来型のBZ系薬物に比べBZ_1受容体選択性が高いことから，レム睡眠や徐波睡眠に対する影響が少なく，また半減期が長いことから反跳性不眠が生じにくい薬物として期待されている。 今回，大量のBZ系薬物とべゲタミンの併用にもかかわらず執拗に不眠を訴えていた53歳の統合失調症男性患者に対して，クアゼパム20mgせ投与し主剤をクエチアピンに変薬したところ，不眠が改善，ふらつきが軽減し，クアゼパム以外のBZ系薬物が中止でき，さらにべゲタミンの減薬にも成功した1例を経験した。 クアゼパムは，統合失調症の治療抵抗性の不眠に対し，非定型抗精神病薬との相乗効果により優れた効果が得られることが期待される。