クアゼパムにより昼夜逆転が改善し，リハビリテーションを施行することができた1例

摘要

睡眠障害に対する薬物療法は，benzodiazepine（Bz）系睡眠薬が主に用いられている。 クアゼパムは，Bz受容体1に選択的に作用する睡眠薬である。 短時間型，超短時間型睡眠薬では，充分な睡眠時間が確保できず昼夜逆転をおこし，中時間型の睡眠薬では入眠まで時間がかかりふらつきを認めた。 しかしクアゼパム15mgにて充分な睡眠時間の確保ができ，日中の眠気，ふらつきも認めずリハビリテーションも施行することができた症例を経験した。 高齢者の睡眠障害に睡眠薬を使用する際，筋弛緩作用によるふらつきや睡眠剤の持ち越し効果による眠気から，充分量を使用することが困難なことが多くある。 しかし，これらの作用の少ないクアゼパムは，高齢者であっても充分量使用することが可能であり，今後の高齢者における睡眠薬の第一選択薬とすべき薬剤といえよう。