ラットにおける逆流性食道炎に対するラベプラゾールナトリウムおよびファモチジンの作用

摘要

前胃と腺胃の境界部および幽門部と十二指腸の境界部を結紮(以下,前胃-幽門結紮と略記)したラットを用いて,胃酸分泌および逆流性食道炎に対するラベプラゾ-ルナトリウムの作用をファモチジンとともに検討した。 ラベプラゾールナトリウムおよびファモチジンはともに前胃-幽門結紮後2時間における胃酸分泌を用量依存的に抑制し,胃液量および酸濃度をともに1mg/kg以上で,酸分泌量をラベプラゾールナトリウムは1mg/kg以上,ファモチジンは0.3mg/kg以上で有意に抑制した。 高用量の30およびIOOmg/kgではラベプラゾールナトリウムは酸濃度および酸分泌量をほぼ完全に抑制したが,ファモチジンは酸濃度および酸分泌量を完全には抑制しなかった。ラベプラゾールナトリウムおよびファモチジンは前胃-幽門結紮5時間後の逆流性食道炎の発生を用量依存的に抑制し,ともに10mg/kg以上の用量で有意な抑制効果を示した。 一方,前胃-幽門結紮10時間後の逆流性食道炎の発生に対しては,ラベプラゾールナトリウムは用量依存的に抑制し30mg/kg以上の用量で有意抑制効果を示したが,ファモチジンはIOOmg/kgにおいても抑制効果を示さなかった。以上より,今回実施したラットの前胃-幽門結紮逆流性食道炎モデル(5時間法,10時間法)における各薬物の効果には,胃酸分泌抑制の程度ならびに胃酸分泌抑制作用の持続時間が影響している可瀧性が示唆された。