全人的ケアを目指したうつ病治療の重要性とSSRIの位置づけ

摘要

WHO（World Health Organization）は，健康な生活を障害する疾患として1995年時点で第4位であった単極性大うつ病が2020年には虚血性心疾患についで第2位になると予想しており，うつ病はcommon diseaseの1つとして取り扱われるようになってきた。 このような"誰もがかかりうる身近な疾患"というイメージが定着してきたことで，うつ病による受診率は増加し，また，使用しやすい薬剤の登場や簡易診断ツールの普及などにより，一般臨床医においてもうつ病治療が行われつつある。 しかしながら，その反面で最近のうつ病診療においては，症状や愁訴にのみ目が奪われ，その背景にある問題が見落されがちである。