ォロパタジン塩酸塩で治療したァトピー性皮膚炎患者における瘙痒および患者QOLに及ぼす影

摘要

アトピー性皮膚炎は遺伝的素因に加えて，アレルギー機序，乾燥肌，環境要因などの要素が複雑に絡みあい発症する慢性炎症性皮膚疾患である。中等度の湿疹病変を有するァトピー性皮膚炎の治療は，副腎皮質ステロイド外用薬による外用療法および抗アレルギー薬， 抗ヒスタミン薬の内服療法の併用が最もスタンダ一ドな治療法である。抗アレルギー薬は抗ヒスタミン薬と比較して眠気を引き起こしにくいため，最近は主に抗アレルギー薬が用いられている。今回，アトピー性皮膚炎患者を対象として，ヒスタミン拮抗作用をもつォロパタジン塩酸塩の瘙痒に対する効果と臨床症状の改善，および患者QOLに及ぼす影響を検討した。その結果，ォロパタジン塩酸塩はアトピー性皮膚炎の瘙痒を日中·夜間ともに抑制した。また，Skindex-16による評価で，患者QOLは有意に改善した。下位尺度において「機能」に関しての変化はなかったものの，「症状」および「感情」における患者QOLの改善が顕著であった。ォロパタジン塩酸塩は中等度の湿疹病変を有するアトピー性皮膚炎患者治療において痒みを改善するだけでなく，患者のQ 0L評価をも改善する優れた薬剤であることが明らかになった。最近，アトピー性皮膚炎の患者QOLの向上は治療戦略上でも重要な位置を占めている。ァトピー性皮膚炎治療におけるォロパタジン塩酸塩の果たす役割も相応に大きなものと考えられる。