血中アンチトロンビン活性値が敗血症性播種性血管内凝固症候群の治療薬の効果に及ぼす影響

摘要

目的：敗血症に起因する播種性血管内凝固症候群（DIC)の治療で，治療開始前の血 中アンチトロンビン（AT)活性値がAT製剤とリコンビナントトロンボモジュリン (rTM)製剤の効果に与える影響を後方視的解析で検討した。対象と方法：本研究は単施設での非ランダム化臨床研究である。敗血症でかつDIC 治療薬投与前の血中AT活性値が70%以下の128例を対象とした。単剤で投与された rTM製剤は66例（rTM群）で，AT製剤は62例（AT群）であった。各製剤の効果に ついて，治療前の血中AT活性値50%以下（低AT活性例）と50%より高値（高AT活 性例）の2つのグループに分け，治療後1週間のDIC改善率と90日生存時間を解析した。結果：DIC改善率はrTM群とAT群で血中AT活性値の影響を受けなかった。生存率 においてAT群では低AT活性例は高AT活性例と比較し90日生存率が低かつた。結語：rTM製剤は血中AT活性値の影響を受けずに生存率の改善に寄与することが 期待される力s，今後，多数例での前向きな検討が必要である。