リンパ節では遺伝子再構成を認め，骨髄ではBCL2およびMYC遺伝子再構成を認めた濾胞性リンパ腫の1例

摘要

患者は59歳，男性.2009年2月，両側頸部リンパ節腫大のため当科を受診した.診察上，リンパ節腫大は両 側の頸部，腋窩，鼡径にみられ，肝腫大とともに著しい脾腫を認めた.白血球数は10,600/mulで，異常リンパ球が 44%を占めていた.右頸部リンパ節生検の病理診断は濾胞性リンパ腫(Follicular lymphoma: FL),グレード3a であリ,腫瘍細胞の表面抗原はCD10, CD20, k鎖が陽性，CD5は陰性であつた.染色体分析ではt (1；14;18) (q21;q32;q21)を認めた.骨髄は異常リンパ球が60%を占めており，染色体分析ではt (1;14;18) (q21;q32;q21) に加えt(8;14) (q24;q32)を認めた.FISH法ではIgH/BCL2とともに融合シグナルを検出した. FLではMFC遺伝子再構成は稀であり，本例では著しい白血化を示し，化学療法に非常に抵抗性であった.きわ めて特異的な症例と考えられ，文献的考察を含めて報告する.