胸部食道癌に対する外科治療の限界

摘要

わが国では従来から胸部食道癌，特に上縦隔リンパ節転移を伴う胸部食道癌に対しては両側頸部リンパ節郭清を伴う右開胸開腹食道亜全摘術が行われてきた.しかしながら食道癌は早期段階から容易にリンパ節転移をきたし，外科切除や化学療法，放射線療法により肉眼的，画像的に根治が得られても再発をきたす症例が少なくない.このため近年は切除可能な食道癌であつても外科切除のみならず，癌進行度，患者状態に応じて化学療法や化学放射線療法を組み合わせた集学的治療を行うことも多くなつてきている.