妊娠合併ITP診療の参照ガイド

摘要

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は，血小板が10万/が/以下に減少する血液難病である。出産可能な女性 に多く発症することから，妊娠·分娩は大きな課題である。ITPは希少疾病であるため，妊娠の医学的管理に つL、て科学的根拠の高い臨床試験の成績はないが，患者と医療者がともに安心して妊娠と分娩に臨める医学情 報が必要とされている。このたび学会横断的に専門医が集まり，ITP合併妊娠診療の参照ガイドを20年ぶりに 改訂した。医学の進歩により，妊娠の維持には血小板が2-3万/mul以上あれば良いこと，分娩様式は産科的適 応で決定すること，経膣分娩には血小板5万/mul以上，帝王切開の場合は8万//乂/以上を目安とした。なお，副 腎皮質ステロイドまたは免疫グロブリン治療を受けていても授乳は可能である。本講演ではITP患者の妊娠と 分娩の管理について，診療の参照ガイドを中心に解説する。