急性骨髄性白血病に対する造血幹細胞移植

摘要

急性骨髄性白血病（AML)に対して標準的な寛解導入療法を行えば，約70-80%の高い寛解率が期待できる1-5)。一方，20-30%の寛解が得られなかった患者の予後は極めて不良である6-8)。また，寛解が得られた患者に対して地固め療法を行っても半数以上は再発し，治癒が得られる.患者はAML患者全体の30-40%に過ぎず，現在の化学療法ではAMLに対して明らかに限界がある。造血幹細胞移植は，大量の抗癌剤や放射線照射などの前処置による殺細胞効果と，同種移植の場合にはさらにgraft versus leukemia (GVL)効果により，極めて高い抗腫瘍効果が期待できるため，初回非寛解患者，寛解患者，再発患者のいずれに対してもAMLの治療戦略上欠くことのできない治療法である。