胸腺癌に対する治療内容の分析

摘要

1986年から1995年の間に国立療養所肺癌研究会所属施設で経験した胸腺癌は38例であった．このうち症例数の多い扁平上皮癌22例と未分化癌7例を対象として，その治療内容と予後との関連についてretrospectiveに検討した．胸腺腫に対する正岡の臨床病期分類にあてはめると，扁平上皮癌ではl期1例，ll期6例，lll期7例，lVa期3例，lVb期5例で，未分化癌では，lll期3例，lVa期1例，lVb期3例であった．中間解析での組織型別の5年生存率は，扁平上皮癌が52％，未分化癌が35％てあった．l，ll期の症例は手術を先行し，術後に放射線治療を追加することで良好な予後が期待できると考えられた．III期以上の症例に対しては，術前に放射線と化学療法の同時併用によるinductiontherapyを行い，その後に手術を行う方が治療成績の向上に貢献する可能性が示唆された．