遠隔転移を有しEGFR感受性変異が陰性または不明の非扁平上皮非小細胞肺癌における予後と化学療法の相関

摘要

[目的]遠隔転移を有しEGFR感受性変異が陰性または不明の非扁平上皮非小細胞肺癌における予後と化学療法の相関を後方視的に検討した．[対象と方法]2004年～2011年の間に上述の症例を対象として検討した．患者背景，EGFR変異解析，化学療法に関する情報は診療録と各種databaseから収集した．すべての解析は統計ソフトRを用いた．[結果]対象症例は375例で生存期間中央値は11.6か月だった．治療前背景因子は，男性/女性：258/117，年齢中央値（範囲）：65（23-85），喫煙歴の無/有?不明：111/264，PSが0-1/2-4：294/81，術後再発の有/無：56/319，転移臓器数は1/＞2：223/152，EGFR変異 感受性以外/無/不明：11/138/226であった．使用薬剤ごとの症例platinum：269，vinorelbine：62，gemcitabine：158，docetaxel（DOC）：149，irinotecan：22，paclitaxel：123，S-1：45，pemetrexed（PEM）：108，bevacizumab（Bmab）：42，EGFR-TKI：115であった．単因子解析では女性，PS 0-1，非喫煙，術後再発，転移臓器一か所が有意に（P＜0.05）予後良好な因子であった．一方，治療薬剤に関しては，EGFR-TKI，DOC，PEM，Bmab，S-1，irinotecanの使用が有意（P＜0.05）に予後良好な因子となった．P＜0.001の因子で多変量解析を行った結果，PS 0-1，非喫煙，術後再発．PEM，Bmab，DOCの使用が独立に予後良好因子となった．[結語]本研究で対象とした症例においてPEM，DOC，Bmabの使用が良好な予後達成のために重要であることが示唆された．