長期生存が得られた肺癌術後小腸転移の1切除例

摘要

背景.肺癌の小腸転移は非常に予後が不良であり，長期生存を成し得た症例は極めて稀である.今回 我々は肺癌術後に小腸転移をきたした症例に対して外科 的切除を施行し，長期生存が得られた症例を報告する.症例.68歳，男性.左上葉切除術を施行し，最終病理検 査結果にてTlbNlMO, Stage IIAの肺多形癌と診断され た.肺癌術後6力月後に血便と貧血を認めた.腹部CT 所見にて腸重積を認め，小腸内視鏡検査にて空腸腫瘍と 診断され，小腸部分切除術を施行した.病理検査にて肺癌の転移腫瘍と診断されたため，プラチナダブレツトによる化学療法を4クール施行した.小腸転移腫瘍切除後 4年9力月経過したが無再発生存中である.結論.小腸 転移病変の外科的切除後の予後は極めて不良である力 病変の外科的切除によりquality of life(QOL)の改善と， 極めて稀に長期生存した報告もある.したがつて小腸転 移の治療については，外科的治療の可能性を積極的に検討するべきであると思われた.