原因不明の反復性嘔吐に対し五苓散が奏効した一症例

摘要

小児科臨床において,嘔吐は様々な疾患において認められる症候である。小児の嘔吐の原因としては、中枢神経系疾患(脳腫瘍、髄膿炎、頭蓋内出血など)、消化器系疾患(腸重積症、虫垂炎,冬期下痢症等の胃腸炎など)、自律神経障害(起立性調節障害,自律神経てhかhなど)の他,代謝異常,感染症,心因性などが知られている。嘔吐が認められる場合には,種々の検査により原因を検索し,それに基づき治療を行うことが必要である。しかし、詳細な検査をしても原因が明確にならない場合には、制吐剤を使用するなどの対症療法で経過観察せざるを得ないこともあり、治療に難渋する症例も認められる。