尿中赤血球形態による出血起源鑑別法の位相差および光学顕微鏡での比較

摘要

目的：顕微鏡的血尿を呈した症例を対象に，位相差顔微鏡法および光学顕微鏡での無染色法と染色法を用いて，尿沈渣赤血球の形態所見から出血部位の鑑別を試みた。 方　 法：臨床的あるいは組織学的に診断が確定している症例のうち，顕微鏡的血尿（5/HPF以上）を認めた腎疾患118例，下部尿路疾患42例の計160例を対象とした。 観察した赤血球のうち，有林状，標的状，指環状の3形態のいずれかが39石以上出現した場合を腎起源の出血，それ未満を下部尿路起源として検討を行った。 成　 績：赤血球形態による比較では，感度は有林状50．9％＜標的状69．．6％＜指環状88.4％の順に有意に高く，特異度はそれぞれ94．9％，89．19%，89．19%で差を認めなかった。 顕微鏡による比較では，位相差顕微鏡法の感度は路19石で光学顕微鏡無染色法74.6％，光学顕微鏡染色法74.6%こ比較して有意に高く，特異度はそれぞれ81．0％，90．9％，88．6％で差を認めなかった。 腎起源の判定，下部尿路起源の判定では，ともに1視野の赤血球数が少ない場合に誤った評価は増加した。 結論：有棘状赤血球のみならず，指環状，標的状形態は糸球体起源評価に有用であり，光学顕微鏡法は出血起源鑑別に十分有用な検査法であることが示唆された。