透析から離脱し2回の出産が可能となったが，発症から15年の経過を経て末期腎不全となり生体腎移植を施行した抗糸球体基底膜抗体腎炎の1例

摘要

症例は，34氣女性。1993年3月，19歳時，急速進行性糸球体腎炎を疑われ入院，腎生検で26個の糸球体のうち24個に細胞性半月体形成を認め，抗GBM抗体が陽性で肺出血を認めず，抗糸球体基底膜(GBM)抗体腎炎と診断した。血液透析(HD)に加え，ステロイドパルス療法，二重瀘過血槳交換療法(DFPP)を併用し2力月でHDから離脱した。挙児の希望が強く，1997年と2000年に出産した。その後肾機能は緩徐に低下し，2008年3 月に夫婦間ABO不一致生体腎移植を施行した。移植後の経過は良好である。抗GBM抗体腎炎は予後不良の疾患である力S，本症例は初期治療が奏効し15年間腎機能を保持しえた。また，抗GBM抗体が陰性化した後の移植治療は，原疾患の再発も稀であり良い適応であると考えられた。