小児慢性腎臓病の薬物療法実態調査

摘要

小児慢性腎臓病（CKD)での薬物療法の使用実態を把握する目的で調査を行った.18歳以下のCKDステージ3とステージ4の患者数，原疾患，治療方針について，多数の小児腎不全患者の診療を行っている48施設に質問紙表による調査を行い，39施設(81%)から回答を得た.小児CKD 患者総数は，ステージ3は201人，ステージ4は99人，このうち先天性腎尿路疾患はステージ3 では165人（82%)，ステージ4では86人（87%)であった.最近2年間の新規診断患者数はステージ3では73人，ステージ4では43人であった.治療法はァンジォテンシン変換酵素阻害薬(ACEI)またはァンジォテンシンII受容体拮抗薬（ARB)が57%，球形吸着炭が19%であった. ACEI, ARB,球形吸着炭は，先天性腎尿路疾患で66%， 68%, 29%の施設で使用され，糸球体疾患でそれぞれ82%， 76%, 21%の施設で使用されていた.ACEIの第1選択薬としてリシノブリル，ェナラブリルがそれぞれ36%， 31%の施設で使用されており，ARBの第1選択薬として口サルタン，力ンデサルタン，バルサルタンがそれぞれ47%, 25%, 20%の施設で使用されていた. ACEIやARBは年齢制限なく使用しているとした施設が68%を占めていた.今回の小児CKD 実態調査では，小児CKDの原疾患として先天性腎尿路疾患が欧米の報告と同様に大多数を占め， 先天性腎尿路疾患も糸球体疾患と同様な頻度でACEI, ARB,球形吸着炭が適応外使用をされていることが新たに判明した.