急性心不全におけるカルペリチド治療の臨床的有用性と医療経済性

摘要

カルペリチドの急性心不全治療の臨床的有用性と医療経済性を，同剤導入以前の治療と比較評価した．1999年以前に治療を受けた患者（非ハンプ群）データ90例を対照に，2003年のカルペリチド治療患者（ハンプ群）データ90例を調査した．ハンプ群と非ハンプ群の患者は，平均年齢72．7歳と71．2歳，NYHAクラスIII，IVが78％と70％であった．非ハンプ群では強心剤が70％，血管拡張剤が34％に使用された．平均入院日数は18．7日と32．7日，トイレ歩行までの日数は7．0日と12．6日であった．有害事象は18人と29人で報告され，不整脈が主であった．診断群分類包括評価で算定した1患者入院費総額はハンプ群で507千円，非ハンプ群で738千円であった．カルペリチド治療は従来治療より入院期間短縮，入院費総額減少など臨床的，医療経済的に有用である．