冠動脈瘤を合併した冠動脈狭窄に対し才フポンプ冠動脈バイパス術およびcovered stent留置術を二期的に施行した1例

摘要

症例は80歳,男性.主訴は労作時胸痛.冠動脈造影で，左前下行枝（#6?7)に90% 狭窄，回旋枝(#12)に75%狭窄，#6に囊状で径13.1 mmの冠動脈瘤を認めた.瘤は左前 下行枝近位部に存在し，安全に処置するには人工心肺使用心停止下での手術が好ましいと 判断した.しかし，上行大動脈の性状が悪く，遮断の危険が高いため，まずオフポンプ冠 動脈パィパス術を施行し，術後10日目に，polytetrafluoroethylene-covered stentを瘤開 口部に留置した.留置後の造影で瘤は描出されず，良好な結果を得た.冠動脈瘤の自然経 過は不明で，治療に関して明確な指針はない.破裂した場合は致死的状態となるため， 個々の症例に応じた適切な治療時期，治療方針の検討が必要である.