米国テキサス大学MDアンダーソンがhセンター

摘要

筆者は2014年4月?2016年3月の2年間，米 国テキサス州ヒューストンにある，テキサス大学 MDアンダーソンがhセンター（MD Anderson Cancer Center : MDACC)に博士研究員.(ポス ドク）として留学した（図1).ヒューストンは 人口が米国第4位の都市で，経済·エネルギー 産業および医療の中枢とされているが，中心部か ら車で小一時間も走れば広大な自然が広がる,米 国中南部の長閑な都市である.留学先であった MDACCのトランスレーシヨナル分子病理学教 室では，肺癌の基礎およびトランスレーシヨナル 研究を行った.指導者のIgnacio I. Wistuba博士 は.胸部悪性腫瘍の分子病理学分野の研究を精力 的に行いめざましい成果を上げている研究者の一 人で，肺癌の分子標的治療におけるバイオマー カーの探索を目的とした全米規模の臨床試験の主. 任研究者を務めていた.研究室では，これらの臨 床試験をはじめとして，膨大な胸部悪性腫瘍の臨 床検体とその遺伝子解析情報，およびそれに付随 する臨床情報を有していたため，それらの解析を 通して肺癌治療の新たなバイオマー力一に関する 研究を行た.特に，筆者の留学以前からの研究 テーマである，「肺癌分子標的薬に対する薬剤耐 性機序の解明に関する研究」を行い，薬剤耐性に かかわる因子の候補を同定し，さらに基礎研究に よってこれらを検証した.