長期間経過観察し得た肺アミロイド一シスの1例

摘要

アミロイド一シスとは，アミロイドと呼ばれる線維蛋白 が様々な臓器に沈着を起こすことで症状を呈する疾 患群である。アミロイド沈着の分布により，全身性ァ ミロイド一シスと限局性アミロイドーシスに分類される。 今回我々は，長期間経過観察し得た限局性肺アミ口 イド一シスの1例を経験したので若干の文献的考察を加え報告する。両側肺野に大小不 同の多発結節を認めた。結節は比較的境界明瞭で， 形状は分葉状のものや，円形のものなど多様な形態を示した。胸膜側に多く分布し，空洞形成は伴っていなかった。全身検索にて他臓器に異常所見を認めず，経過フォローの胸部単純X線写真で結節影の増大を認めた。鑑別診断として転移性肺腫瘍，類上皮血管内皮腫，悪性リンパ腫やCastleman病などの リンパ増殖性疾患，肺結節型アミロイド一シスが挙げられた。