救急研修のレディネス形成を目指した初期臨床研修医用eラーニング開発の試み

摘要

【背景と目的】獨協医科大学埼玉医療センターの救命救急センターでは，オープンソースの学習管理システムであるMoodleを活用し，救急医療における初期臨床研修医用eラーニングを開発した.【方法】eラーニング の学習目標として，1)入職時研修で得た知識とスキルを再確認する，2)救急研修に必要な基礎知識は何か を知る，3)救急研修開始前の準備ができる，とした.教材には救急研修開始前と研修中，研修後に取り組む コンテンツを作成したっが，今回研修開始前のコンテンツに着目し，教材を運用した結果と研修医のレディネス 形成に関する評価を報告する.2015年5月から2016年4月までに研修を修了した1年次研修医12名を対象とし， アクセス状況，実力テスト成績，アンケートで調査した.【結果】eラーニングへのアクセス状況は研修開始3 日から1週間前の土日が多かった.実力テストは最低限必要な点数を獲得しており，主な目的とした研修開始 後1ヶ月で学ぶべき内容について明示することはできた.アンケート調査では，救急研修前からeラーニング に取り組むことでレディネスが形成できたとする意見が多かった.【考察】今回eラーニングは救急研修のレ ディネス形成に効果的であつたと言え，人職時研修で獲得した知識の保持と転移に役立つ可能性についても示 唆された.また指導医についてはオリエンテーションに費やす時間が半減したため，負担が一部軽減され，教 材活用のメリットを享受できたと言える.