SFに見るAI

摘要

1.世界初のコンピュータSFフアンの世界大会Worldcon 2007が横浜で開催されたとき,作家の瀬名秀明さhに誘われて「想像力の勝負」という題で発表を行った.兼ねてから漠然と抱いていた,情報技術はニーズ先行ではなくシーズ先行型だという考え方を実証すベく,SF作家と研究者のどちらが先にコンピュータの概念をもったかという歴史を調ベた.このセッションは「サイエンス?イマジネーション」(瀬名秀明編著,小松左京監修,エヌテイテイ出版,2008)として出版されているからあえて詳細は繰り返さないが,結果は研究者の惨敗であった.コンピュータの概念はフォンノイマンやチューリングらが最初であるから1940年代に始まる.しかし,SFに現れる最初のコンピュータ(っまり人間に代わって計算や記号処理をする機械)はなhと1927年に"Amazing Stories" 2月号に掲載されたAmmianus Marcellinusにょる「The Thought Machine」である.それ以前にも例えばガリバー旅行記に文章をランダムに生成する機械などが出現するが,我々の感覚でコンピュータと呼ベるのはこのThought Machineが最初であろう.「計測と制御」(金子隆一:科学技術の予見者としてのSFその実態と機能,計測と制御,Vol. 43, No. 1, pp. 2-7 (2004))に翻訳が出ているので読むことができる.機械の記述部分を引用しておく.