多系統萎縮症における早期診断マーカーの開発

摘要

多系統萎縮症（multiple system atrophy, MSA)は小 脳失調，パーキンソニズム，自律神経障害を経過中に様々 な程度で認める孤発性神経変性疾患である12008年 に提唱されたMSAの臨床診断基準は高い特異度と陽性 的中度を示すものの感度は高くなく,早期診断に資す る臨床指標ならびにバイオマーカ一の開発が極めて重要 である。また認知症はMSAの診断を支持しない症候で あったが，近年の詳細な神経心理学的検討により，MSA では遂行機能障害などを中心とした前頭葉機能障害が存 在し，約20%は明らかな認知機能の低下を認める。