幅広面に外部共振器を装荷した矩形導波管有極型帯域通過フィルタ

摘要

送信帯域と受信帯域が近接する衛星通信用などのアンテナ給電回路では、急峻な減衰特性を有するマイクロ波フィルタが要求される。このような急峻な減衰特性の実現には、阻止域に減衰極を作ることのできる構成が有効である。矩形導波管からなるマイクロ波フィルタについては、これまでに、主共振器間に飛越結合を有する構成や、矩形導波管に周波数選択板を装荷する構成、主共振器の幅の細い面に外部共振器を装荷する構成などについて研究がなされている。ここでは、矩形導波管の幅広面に外部共振器を装荷する構成を提案する。外部共振器を矩形導波管の幅広面に装荷することにより、E面分割での製造が可能となるため、低損失化に有効である。また、幅広面に回路が大きくなることがないため、比較的自由なレイアウトが可能となり、アンテナ給電回路としての小型化を図ることもできると考えられる。通過域の高域端と阻止域の低域端の間の比帯域幅が2%程度となる、2種類のレイアウトのフィルタを設計し、試作評価した。その結果、通過域における反射19dP、損失0.3dB、阻止域における減衰量60dBの良好な特性が得られることを確認した。