中国地方の小水力発電·その歴史と今後の展望

摘要

中国地方では，地域経営の自家用小水力発電所が，1951年～1971年の間に90か所（1万2200kW）建設され，82か所は全量売電式で農村の経済効果と戦後の厳しい電力不足に大きく貢献した（図－1）。これは1946年，中国配電（現中国電力）役員を辞任した「織田史郎」（イームル工業創立者）が，国内の電力不足と農村の経済復興に，地域の小河川を利用した小水力発電が役立つことを考案し，その開発に生涯をかけて活動したことによるものである。65年前に始まった中国地方の全量売電式小水力発電から何を学ぶか，その歴史と今後の展開を考えてみる。