立山信仰の世界（映画「劔岳 点の記」に関する話題を交えて）

摘要

立山というと富士山のように一つだけ独立した峰があるように思われがちだが，立山という独立した峰はない。「立山連峰」の峰々には，「雄山」3003m，一番高いところの「大汝山」3015m，「浄土山」，「別山」そして「剱岳」がある。剱岳は，最近測量をし直し，残念なことに2999mで，3000mにギリギリ足りなかった。少し近くにある石を積み上げて何とかならなかったのかと思ってしまう。しかし，ちょうどならなかったところが剱岳のよいところで，非常に歴史の深い山である。立山信仰の世界を，大きなもので縦は1m80cm，横は2mくらいの大画面に描いた「立山曼荼羅」というものがある。立山信仰について説教をするためのものであるが，これが富山県若しくは県外に合わせて47本見つかっている。かつて立山信仰を全国に布教して回った，立山山麓の芦峅寺や岩峅寺村の宗教者（地元では衆徒と呼ぶ）が，今でいう僧侶や神主たちが，立山信仰を説明するために持っていった絵図である。